「タイガーマスク」がランドセルを届けた、「児童養護施設」の実情とは?

日本人は寄付をしない国民と言われます。これって本当かな、と疑問に思いませんか?いえ、現実に寄付金額を見ると日本はアメリカの100分の1とも言われていますから、寄付を積極的にしていないということは明らかなのですが、それが国民性の違いと言われたり、キリスト教の精神がどうこうとか言われると納得しがたいものがあります。よく言われるように税制の問題も大きいでしょうしね。とにかく、日本人だけが弱者にとりわけ無関心ということだけはないだろう….そんな風に思っていました。

ランドセルを届けるタイガーマスクが話題

なぜこんな話を言うのかと言えば、それは最近タイガーマスク児童養護施設にランドセルの寄付をし、同様の行為が波及していることが話題になっているからです。これ、いろいろ言われているようですが、いい話だなあ、かっこいい日本人がいるもんだなあと単純に思います。

実際は、ニュースになっている以上に同様の行為が広まっているようで、先日都内のある児童養護施設の職員も「実はうちにも、ランドセルを必要とする子どもの数を確認する電話があった。」と言っていました。残念ながらというか、幸いというか、そこの施設の子ども達の場合、親が「ランドセルくらいは……。」と自ら購入する予定の子どもばかりだったため、丁重にお断りしたそうです。

その代わり、まだランドセル購入の目処がついていない子ども達を多く抱え、しかも資金繰りも苦しい近隣の児童養護施設をご紹介したのだとか。そう、細かいことを言えば、物品寄付の場合は、送り先が本当にそのモノを必要かどうか、事前に確認する必要はありますよね。たくさんのモノを寄付していただいたものの、使途に困って….という例は、珍しくない話なのです。

本来は児童養護施設への寄付は行政の仕事

そもそも児童養護施設の子ども達への支援は、本来は行政の仕事です。でも、これがまるでたよりない。例えば、高額所得者も対象になっている子ども手当は、当初児童養護施設の子ども達には支給されない方針でした。しかし、これは批判を受けて、同額の補助金を出すことにしたものの、実際にはまだまだいろんな課題が残っているようです。例えば、ロクに会いにも来ない親であっても、親側から子ども手当の申請がなされてしまえば、施設の子どもには渡らない。そのため、同じ施設内で子ども手当を受け取る子どもと、受け取らない子どもがいて、対応に四苦八苦しているというのはよく聞く話です。

また、その補助金はもともと年度末まで使い切ることが行政から求められていました。児童養護施設の子ども達はほぼ例外なく、進学する際に進学費用の工面に非常に苦労しています。そのため、前出の職員達は子ども達の将来の進学費用として貯金したい気持ちを抑えて、子ども達に希望の使途を確認。デジカメやプリンター、コンポ等を大急ぎで購入したそうです。

ところが、暮れも押し迫る12月28日に突然行政からメールでの一通のお達しが……なんと、「補助金を将来のために貯金することを許可する」という内容だったというのです。多くの真面目な職員は行政からの指導通り補助金を使い切ってしまっており、子どもが様々な問題を抱えそれどころではなかったり、性格的にのんびりしていて使い切らないままその日に至っていたという一部の職員の子ども達の分だけが貯金にまわせることになってしまったのだとか。なんともお粗末な話です。

民間の善意は気持ちを明るくする

それに比べたら、今回の民間の善意ははるかに気持ちが明るくなります。そして、その心意気が日本各地に伝播しているというのもまたうれしい。やっぱり、自分のお金を困った人のために役立てたいという人は確実にいるのだなあと思います。ただ、大切なお金を漠然と寄付したりはしない、寄付先の選択について厳しくなっているということではないでしょうか。

それにしても、「ぼくのランドセルは、タイガーマスクがプレゼントしてくれた。」という思い出が子どもの心に残るって素敵。まあ、今の子どもですから「タイガーマスクって誰?」という感じであろうことが難点ではありますけどね……。

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