クレームだけでは解決しない! モンスターペアレントを生み出さない教育環境

アメリカで「史上最強のモンスターペアレントが出現」し、世間を騒がしている….というか、あきれさせているそうです。なんでも、学校で悪さをし騒いでいた息子を白人教師が叩いたことに対して激怒した母親が、治療費、慰謝料、精神的苦痛を和らげるための誠意を見せろと学校側に主張、統一学校教育長宛に40ページにもわたる書類が届いたというもので、まあ、過保護な親が増えている現代ではあり得ない話ではないのかなとも思いますが、その母親が学校に要求している慰謝料が圧巻です。

アメリカ史上最強のモンスターペアレントの要求とは

「100万ドル(約8,300万)の息子の顔の4分の一を叩いたから25万ドルの治療費」「加害者教師からの謝罪文」「加害者教師の免許剥奪」の他、全米一の名高い黒人児童心理学者によるカウンセリングの手配と費用の支払い、今後9年間のプライベートピアノレッスン費用の支払い、オペラ、映画、バレエのシーズンチケット贈呈、大学授業料免除、大型ディスカウント店「ウォルマート」商品券贈呈、住宅ローン、車、自宅リフォームの支払い、今後9年間の医科歯科治療費用免除、ディズニーワールドへの旅行、5つ星ホテルでの滞在費(2名分)などなど……。

なんなんでしょうか、この母親?!アメリカでも失笑を買っているようで、誰からも相手にされていないそうですが、あたりまえですよね。しかしながら、このニュースを見て思ったのは、モンスターペアレントって日本特有の現象だと思っていましたが、そうでもないんだということ。子どもを想う親の気持ちは世界共通、時に行き過ぎてしまう点も共通しているということなのでしょうか。

モンスターペアレントが増えてきた理由

モンスターペアレントが増えてきた原因はいろいろといわれています。例えば、不景気による国民のいら立ちとか、地域崩壊で苦情を地域ごと受け止める前にダイレクトに学校に行ってしまうとか、少子化で子どもに(間違った)過剰な愛情が注がれているとか……それぞれ正しいでしょうが、正確には全てが複合的に重なり合って影響しているというのが妥当なところでしょう。しかし、私はとりわけ、先生と保護者の対立構造が気になります。

先生というのは「ねたみ」の対象になりやすいものです。現実に、子どもを持つ親が集まれば、盛り上がるのは先生の悪口。私も、しばしば同じ年頃の子どもを持つお母さんとお茶を飲んだりすることがありますが、あるとき、先生の悪口をさんざんぶちまけたお母さんからこんな提案をされたことがあります。「○○くんのおかあさんも先生にはなにかと不満があるみたい。mikakoさん、ここはみんなでまとまって先生にクレームをつけない?」

子どものためのより良い教育を求めて先生に意見することは時には必要でしょうが、それにしてもまずは1人で先生と向き合う等の段階を踏むのが本来だと思います。そもそもそのお母さんの主張していることにも共感できなかった私はやんわりと断りましたが、安易に団結して先生を凶弾しようする風潮に薄気味悪さを感じたことも事実です。

いたずらにクレームをつけるだけでは何も解決しない

もちろん、こういった対立ばかりが起こっているわけではなく、時には先生の熱心さに感動し、感謝することだってあるのですが、そういった話で盛り上がるということは極めて少ないというのが人間の性であり、人間社会の特徴でもあるように思います。そしてまた、先生と保護者の対立をあおっているのがマスコミ。そもそもモンスターペアレントという言葉だって、マスコミによって広められました。マスコミが現象をおもしろおかしく報道することで「バカな親、ダメな先生、とんでもない子ども」というイメージが一人歩きしてしまい、私たちはお互いを信頼できなくなっているとはいえないでしょうか。

しかし、今のようにいたずらに保護者がクレームをつけたところで、子どもの待遇が良くなるとはとても思えません。それどころか、先生は萎縮し、子どものためではなく、保護者の顔を伺いながら教育をするだけでしょう。実際にアメリカでは先生を支援する取り組みが進められていることは「教育改革は教師の支援から」でも取り上げた通りです。

もちろん主張すべきはきちんと主張すべきでしょうが、過剰なクレームが良い結果に導くことは少ない。それは、過剰な損害賠償請求で産婦人科医の先生が足りなくなったりしていることを見れば、一目瞭然です。先生もまた退職者、休職者が増えているといわれているのです。先生と保護者と子どもがそれぞれ相手を信頼し、手を結び合うことがモンスターペアレントを産み出さないために必要だと思います。

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