ゲームで農業体験して、本物の野菜が収穫できる……これって、アリ?

農業についての政治家やマスコミの話をニュースなどで聞いていると、「農業って経済的な価値だけで判断していいのかしら、農業の価値ってそれだけじゃないんじゃないかしら…..。」と違和感を感じることがあります。日本の農家がダメなら、外国や田舎からお金を出して買えばいいという考えには、理屈はあっていても本当にそれでいいのでしょうか。そんな大人達を見て、お金には敏感でも環境や社会を知らない子ども達が育っても不思議ではありません。実は、経済すらもすべて環境、自然を無視しては成り立たないのに、私たちはそのことをつい忘れがちです。

食育の一環としての、学校での農業体験

そういった中、子供たちの食育の一環として、また、将来の農業を受け継ぐ若者を育てるために、農業の体験をする学校が増えているようです。農業を取り入れる学校では、休耕田を借り、学校のみんなで田植え、草取りなどの世話といった作業をし、秋には稲刈りをしてその米を餅にして食べたりする本格的なものもあれば、比較的簡単に育てることのできる野菜や大豆を育てて収穫し、食べている学校もあるようです。

私の子どもが通う保育園でも、トマトやピーマンやキュウリなどの野菜をお庭で育て、子ども達が収穫して、お昼ご飯にみんなで食べたりしています。実際に自分たちが育てた農産物を収穫するときの子供たちは活き活きしていますし、収穫した野菜を調理し、食べることも大きな喜びです。農業を知り、自然を知り、食物の大切さを知る…..今の世の中、このような機会を持つことは難しいだけに、その重要性が増していると思います。

しかし、こういった体験学習は一過性のイベント的な位置づけで終ってしまいがちなこともまた事実です。必ずしも全ての子ども達が主体的に取り組んでいるとはいえず、また、その瞬間は楽しくても、日常に戻れば農業のことなど意識することのない毎日に逆戻り….ということも十分あり得ます。限定された体験学習だけでは、農業は本当の意味で私たちにとって身近な存在にはならないでしょうし、新規就農者数も増えては行かないでしょう。

ゲームで農業をすると本物の野菜を育てられる?!

ところが今、若い世代を中心に、新しい形の農業体験ゲームが人気を得ているそうです。Mixiアプリの、野菜の世話や収穫を楽しむゲーム、「サンシャイン牧場」がヒットし、その後も同じようなテーマのゲームがいくつかありましたが、最近の注目されているのが「畑っぴ」と言われるゲーム。NTTドコモの携帯電話で利用できるアプリケーションなのだそうです。

ゲームの中では、米やイチゴ、レタスなど16種類もの農作物を育てることができ、栽培期間3〜4ヶ月の作物が、4日ほどで収穫できるのだとか。このゲームの面白いところは、実際の農家が監修しているところで、ゲーム中、土作りなどの作業をきちんとこなし、天候や害虫にも気を配り、土壌の栄養や水分を一定水準に保って栽培できれば、契約農家の顔写真入りのカードと一緒に、本物の農作物が届くところです。ゲームの中で自分で育てた収穫物を味わうことができるのです。

ゲームで農業体験はいいのか悪いのか

このゲームは20代〜40代に人気だそうですが、「中学生や高校生もゲームで農業体験できたら楽しそうよね。」と友人に話をしたところ、その人は「でも、所詮ゲームで実際の農業を体験するのとはまったく苦労が違うでしょう。なんでも架空の世界で体験した気になる子ども達が増えるだけじゃないかしら。」と一言。なんだか、ちょっと不満げです。

彼女の言うことは最もかもしれません。でも、今の世の中、ゲームや携帯が子ども達の生活においてますます必須のアイテムになっていく流れはもう止めようがありません。そうであれば、私たちも昔ながらの方法にこだわることなく、新しいやり方で子ども達に様々な体験のきっかけを提供してあげればいいのではないかとも思います。

「畑っぴ」で「農業って面白そう」と思った子どもは、授業で行う農業体験にも熱心に取り組むでしょうし、あるいは実際に農業体験ツアーに参加したりするかもしれません。携帯ゲームの果たし得る役割ってまだまだありそうです。

☆関連記事☆
あなたの寄付はもしかしたら迷惑がられてるかも?
紙ヒコーキで大気圏突破も夢じゃない?!紙ヒコーキ名人の挑戦とは
恋愛結婚なんて時代おくれ?!費用対効果の高いパートナー選び